ヴィンテージレコードの楽しみ冷たく青い光を放ち、時に赤く燃えさかり、時に白熱する。
《英ブルー SPA盤》GB DECCA SPA230 アンセルメ ラヴェル・管弦楽曲集
アンセルメの全然土臭くない都会的な表現。しかし、アンセルメのニュアンスに富んだ表現はまさに絶妙である。フランス的な陰影もタップリでスコアを十全に見据えた解析力を感じます。キビキビとした速いテンポで、この元数学者のマジックにかかると不思議なもので、聴き慣れた名曲に仕上がっているから、さて不思議。アンセルメのポテンシャルを思い知らされた一枚。勿論、デッカの優秀な録音技術も絡んでいますから凄い録音です。
レコードのステレオ録音は、英国 DECCA が先頭を走っていた。1958年より始まったステレオ・レコードのカッティングは、世界初のハーフ・スピードカッティング。 この技術は1968年ノイマン SX-68 を導入するまで続けられました。
CDフォーマットでは切り捨てられる 20kHz 以上の高調波成分が、自然界の音楽信号成分と音楽エネルギーが等価になるので心地いいですし、オーディオファイル盤で優秀録音、生演奏彷彿。
「バレエ音楽の神様」アンセルメ晩年の録音。全盛期のスイス・ロマンド管弦楽団との緊張感あふれる名演奏です。バレエ指揮者としてのキャリアから生み出される、独特のリズム感はさすがです。
【収録曲】
バレエ音楽『ダフニスとクロエ』第2組曲
ラ・ヴァルス
亡き王女のためのパヴァーヌ
道化師の朝の歌
スペイン狂詩曲
『ダフニスとクロエ』は、ラヴェルがギリシャ神話時代の牧歌的なストーリーをもとに作曲した大曲で、アンセルメの表現力が遺憾なく発揮された聴きどころ満載の一枚です。ダイナミックレンジの広い優秀録音がこの曲の魅力をさらに高めています。オーディオファイル盤としても有名。ステレオ録音。
1965年5月ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホールでの優秀録音、名演、名盤。
レコード・ノート
プロダクト
- オーケストラ
- スイス・ロマンド管弦楽団
- 指揮者
- エルネスト・アンセルメ
- 作曲家
- モーリス・ラヴェル
- レーベル
- DECCA
- レコード番号
- SPA230
- 録音種別
- STEREO
- 製盤国
- GB(イギリス)盤
- レコードカルテ
- BLUE WITH SILVER LETTERING, STEREO 1枚組(150g), Release1972, Stamper 1W/3W。
《SPAシリーズ》英DECCA社の廉価版シリーズは、1960年前後に第1の廉価盤シリーズ「Ace of Clubs/Ace of Diamond」を発売します。その後、1970年代に入ると第2の廉価盤シリーズ「Eclipse」を発売します。そして、第3の廉価盤シリーズとして「The World of Great Classics」として「SPAシリーズ」を発売します。本盤は、その第3の「SPAシリーズ」なのですが、クラシック入門編といった趣で演奏者の全然違う録音を組み合わせた編集も多く、コレクション的には価値が低いものの、音質的にもSXLシリーズより僅かスッキリした感はありますが、DECCA社らしい高音質(Hi-Fi)となっています。同じソースでも、SXLオリジナルの1/5~1/10程度の費用で入手できるので、コストパフォーマンスの高い盤としてオススメできます。
オリジナルLPも既に30年、40年を経て状態の良いモノが減ってきましたからクリアビニールでのLP再発というのは素直に嬉しいもので、レコードクリーニング技術の向上を考えれば、こうした復刻LPが少なくともこの先50年はアナログレコードで安心して聴いていける機会を保証してくれることでしょう。
然しオリジナルLPに永年親しんできたエンスーなファンとしてはオリジナルLPと再発CD再発LPとの顕著な音の違い、音質の差は勿論ですが全体的な質感、音楽の印象さえ異なって聴こえることにお気づきであると思います。
日本盤の中にはリマスターで音質は向上したものの、妙に明るく元気な音になってしまいオリジナルLPの深みや重みが消えてしまったようなものもあり、やはり本来の音楽性はオリジナルLPを聴かなければわからない作品が多いと思います。